2018/07

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Volatility Drag とは、定着した用語ではありませんが、ボラティリティがリターンを食いつぶす度合いを意味し、
n % 下落後 n % 上昇しても、元の価格に不足する分が該当します。

関連記事: Volatility Drag \( 自信なし )/

この現象のおかげで、レバ掛け ETF をアフォールドできないのですが、さすがと言うべきか、Volatility Drag を
解消した ETN が Barclays からローンチされていたことを知りました。

ネタ元:
Barclays Halts Creation of BXDD (Seeking Alpha)
Barclays Launches No-Reset Leveraged ETNs (Invest with an edge)

ネタ元の記事によると、Volatility Drag を解消した ETN として、次の商品が挙げられています。

Long B Leveraged Exchange Traded Notes Linked
to the S&P 500 Total Return Index (BXUB)

Long C Leveraged Exchange Traded Notes Linked
to the S&P 500 Total Return Index (BXUC)

Short B Leveraged Exchange Traded Notes Linked
to the Inverse Performance of the S&P 500 Total Return Index (BXDB)

Short C Leveraged Exchange Traded Notes Linked
to the Inverse Performance of the S&P 500 Total Return Index (BXDC)

Short D Leveraged Exchange Traded Notes Linked
to the Inverse Performance of the S&P 500 Total Return Index (BXDD)

名前をわかりやすくすると

Barclays S&P 500 3x Long 2009 ETN+ (BXUB)
Barclays S&P 500 2x Long 2009 ETN+ (BXUC)
Barclays S&P 500 1x Short 2009 ETN+ (BXDB)
Barclays S&P 500 2x Short 2009 ETN+ (BXDC)
Barclays S&P 500 3x Short 2009 ETN+ (BXDD)

になります。

これらの商品(ネタ元の記事では「ノーリセット商品」と呼ばれています)が、通常の「リセット」商品と
どのように異なるか、わかりやすくするために、レバ1倍、ロング ETF の例で表にしてみます。

インデックスの値動き通常商品
(毎日元本が前日値にリセットされる)
ノーリセット商品
(元本は100のママ)

1日め:元本100でスタート
100
100

2日め:50%下落
50
50

3日め:50%上昇
75
(元に戻らない)
100
(元に戻る)

4日め:50%下落
37.5
50

5日め:50%下落
18.75
0
(残高ゼロ!)

6日め:50%下落
9.375
-50
(追証発生!)


この表でわかるように、n% 下落した後に n% 上昇すれば価格が元に戻るようにするために、当初の元本を
基準に変動額が決まるようにすると、想定の逆に価格が動くと残高がマイナスになる可能性があるのです。
一方、前日の終値を基準に変動額が決めると、想定の逆に価格が動いても残高はマイナスになりませんが、
n% 下落した後に n% 上昇しても元に戻らないため、多くの投資家が期待するような値動きにはなりません。

これらの記事が書かれたきっかけは、BXDD の設定が中止されたことです。

関連記事: ETN にはストップロスで強制償還があるらしい

BXDD は3倍レバ掛け空売り ETN で、設定価格は50ドルでした。最近の株式市場が好調だったため、昨日
(2月18日)の BXDD の株価は14.01ドルまで下がっています。3倍レバ掛け空売りという性質上、今後 S&P 500
が10%上昇すれば株価はマイナスになります。マイナス分を投資家から取り立てるシステムがありませんから、
BXDD には「株価が10ドルに達すれば強制償還」という条項が用意されており、その前段階として16ドル近辺で
新規設定が中止されたという報道があったわけです。

ところで、orz がネタ元の記事を読んだとき、最初はぜんぜん理解できませんでした。なぜなら「リセット」が
「前日の終値を今日の変動幅の基準にする」ことを指すとは、思いもよらなかったからです。

レバ掛け ETF の値動きが連動するインデックスから乖離する理由を聞かれると、「毎日リセットされるから」と
回答する専門家が多いようですが、この表現ですぐに理解できる投資家は多くないと思います。